病気になった時、自分や家族の大切な体のことなので、できればいい先生・いい病院にかかりたいと思うのは当然のことでしょう。しかし、何をもって「いい先生」や「いい病院」というかは、簡単ではありません。規模が大きくて医師の数が多いからといって、いい病院とは限りません。医療機関や医師によって得意分野にも違いがあり、地域性もあるでしょう。個別の患者にとっては、医師や看護師との人間的な相性ということもあります。「質」の評価は、なかなか困難なものです。そこで、病院選びの手がかりとして使われるようになったのが、年間に何件の手術を行ったかというような「量」の情報です。毎年、医療機関が都道府県にデータを報告して、都道府県がホームページなどで公開する仕組みです。また、入院費用を病気・治療ごとに分類したデータも公表され、治療実績が分かるようになりました。心臓の冠動脈バイパス手術などでは、手術の死亡率がどれくらいか、がんの手術では病期ごとの5年生存率がどうかというようなデータも、医療機関選びの際には重要になる情報です。マスメディアが独自に医療機関にアンケートを行って調査結果を報道しているのは、このためなのです。医療機関が独自に、がんの5年生存率を発表しているケースも増えました。5年生存率などの治療成績は、がんの進行度による患者の背景によって異なってきます。患者側にも、医療情報を読み解くような知識が求められるようになってきました。